第15回日英・英語教育学会地方研究会

日時: 2016年3月13日(日)14:00 – 17:00

会場: 青山学院大学 総研ビル (14号館) 9階 第16会議室

所在地: 〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25

アクセス: JR他渋谷駅より徒歩10分,東京メトロ表参道駅より徒歩5分

参加費:会員・非会員とも無料

懇親会:17:30 – 19:30

問合せ先:日英・英語教育学会事務局:清泉女学院大学 和田順一研究室
〒381-0085 長野県長野市上野2丁目120-8 清泉女学院大学人間学部
電話 026-295-1343
E-mail: wada [at] seisen-jc.ac.jp

内容


講演1 寺沢拓敬(てらさわ・たくのり,日本学術振興会/東京大学社会科学研究所特別 研究員)
題目: Evidence-Based Education Policy と日本の英語教育

概要: 本講演では,英語教育学者が政策的議論を行う上で押さえておくべきポイントを 「エビデンスベースト」論を軸に論じる.具体的には次のような3部構成で議論する.(1) Evidence-Based Education Policy (EBEP: 根拠に基づいた教育政策)の紹介,および基本的概念の説明,(2) 日本でこれまでに行われてきた英語教育政策研究の質評価,(3) 政策的エビデンスの質を向上させる方法.
まず,エビデンスベーストアプローチを教育政策に適用したEBEPの枠組みを概観する.EBEPは米国・英国ではす でに教育政策研究の標準になりつつあり,また,近年日本においても注目が集まりつつある.本講演では,米国・英国で の運用事例を紹介したうえで,その基礎概念である「因果効果」と「エビデンス階層」を説明する.
次に,EBEPの基準と照らし合わせながら,日本の英語教育学者が産出してきたエビデンスを評価する.本講演では, とくに小学校英語政策に関わるエビデンスに焦点化する.その結果,ほとんどのエビデンスの質がきわめて低いレベルに とどまっていたことが明らかになる予定である.
最後に,エビデンスの質を向上させるためにどのようなリサーチデザインが必要かを論じる.ただし,ランダム化比較実 験のような因果効果を厳密に推定する手法を教育研究で用いるのは必ずしも容易ではない.この困難は英語教育研究でも 無縁ではない.この点を考慮し,本講演では相関的研究(一時点調査など)や事例研究を現実的な研究方法として位置づ けたうえで,どのようにすれば相関研究・事例研究に特有のバイアスが除去できるかを論じる.


講演2 印南洋(いんなみ・よう,中央大学理工学部准教授)

題目: 英語教育研究におけるメタ分析

概要: 英語教育の変革期にあたって,さまざまな政策が検討されています.このような時 期にこそ,英語教育研究の在り方を改めて見直す必要があると思います.本発表では効果検証の総まとめの研究方法の1 つであるメタ分析について述べ,事例を紹介し,メタ分析の利点と限界点を述べます.
研究結果をまとめる際に通常使われる方法は,個々の研究を見て,例えば指導法の効果があった研究数となかった研究数 を数えまとめることです.ただしこの方法で全体的な結論を客観的に導くには,2つの限界点があります.第1に,個々 の研究結果を集めて一般化するためには,系統的な文献収集が必要ですが,それは行われないことが多いことです.多く の場合,扱われた文献の取捨選択は,各研究者の判断によることが多く,対象とする文献によって,異なる結論が導かれ る恐れがあります.第2に,単独の研究では,リサーチデザイン,受験者の特質,受験者数などによって,研究結果が大 きく左右されます(e.g., Cooper, 1989).各観点から先行研究を分類することはできますが,どう統合すればよいかは分かりません.
これら2点の問題点はメタ分析の手法を用いることで幾分かは解決できます.メタ分析は,「関連した先行研究の知見を 統計的に統合する手法」(Cooper, Hedges, & Valentine, 2009)
です.上記1点目について,データベースなどを用い同一テーマについて系統的に収集された先行研究内から,例えば平 均値や標準偏差を収集します.それらを統合し,平均値の平均を計算することで,より包括的に研究結果をまとめること ができます.上記2点目について,リサーチデザインなどの要因(例: ESL/EFL環境で行われた研究か)をコーディングし,要因ごとに影響の程度を調べることができます.これらの過程を通じ,個々の研究で得られた知見をまとめることがで き,知見の積み重ねを促進できます.そして,現時点で入手できる先行研究に基づき,何が分かっているか,何を今後研 究する必要があるかを具体的に示すことができます.
ただし,メタ分析にも限界点があります.メタ分析は数量的な統合手法であるため,質的なデータの統合,量的データと 質的データの統合,を行うことはできません.また,系統的に先行研究を収集するとはいえ,必ず収集漏れがあります. また,メタ分析の多くの過程には研究者の判断が求められるため,同一テーマのメタ分析であっても研究者によって結論 が異なる恐れがあります.本発表ではメタ分析を通じ,研究結果のよりよいまとめ方を考えていきます.

チラシ

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